ステンドグラスの歴史
最古のステンドグラスから現在に至るまで、ステンドグラスの歴史をまとめました。買付の際、イギリスで撮影した写真もご覧いただけます。
その歴史は古く、書記では5世紀頃の作家がフランスはリヨンの教会で眼にしたステンドグラスを「まるで春の花でいっぱいの草原のように光り輝いている」と表記したものから、同じく5世紀頃建てられたとみられるイスタンブールの寺院にステンドグラスの使われていた痕跡があったという説があります。
現存するステンドグラスではドイツのヘッセン州立美術館に展示されている9世紀頃に作られたとされる男性の頭部のステンドグラスが最古で全体像が完全な状態で残っているステンドグラスでは、11世紀ごろに建てられたドイツのアウクスブルグ大聖堂の預言者が最も古いとされています。この9世紀には現在でも基本的な技法でもあるH型の鉛(ケーム)にガラスを挿み込み組み上げて隙間にパテを詰める工法が始まったそうです。12世紀に入ると、ゴシック様式が取り入れられ建築技術が飛躍的に発達し大聖堂や教会がたくさん建設されました。それに伴い、ステンドグラスの技術も飛躍的に向上しました。
ゴシック建築最盛期の14世紀頃には大聖堂や教会だけでなく宮殿や城館、一般の住宅にも取り入れられるようになり、宗教画をモチーフにしたものから植物的なものや幾何学的な図柄が数多く取り入れられるようになり、更にステンドグラスの技術が躍進しました。12世紀より続いたステンドグラスの黄金期も16世紀におこった宗教革命や18世紀ごろの産業革命などにより一時は衰退してしまいます。産業革命によってステンドグラスも大量生産される一方、低品質化が進みました。その現状に異議を唱えた芸術家のウィリアム・モリスが18世紀末期にアーツ&クラフト運動を展開した事により産業革命以前のクラフトマンによる手作り感やアンティークの味わい深いステンドグラスをとり戻すことが出来たのです。
当店のステンドグラスの大半は19世紀頃のイギリスのもので、当時の建築家のデザインやタイルの柄をモチーフにしたデザインからアールヌーボーの花や植物などの有機的なデザイン、アールデコの直線的な幾何学模様などその時々のパターンブックが作られました。ステンドグラス職人たちはパターンブックを手に中産階級の住宅に売り込み、住民が好みの図柄を選び窓ガラスに合わせたステンドグラスを職人が作りはめ込んで貰う事が流行り、ステンドグラスが各地に広まっていったのです。そして現在日本と同様にイギリスでも高気密・高断熱を重視してペアガラスが取り入れられています。その際にリフォームで取り外したステンドグラスを市場より買付け、当社でリペアを施し、お客様のご希望の使い方に合わせた加工やサイズ調整をしてご提供致しています。