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コラムColumn

Antique Market~蚤の市~

英国人の「古いものを大切にする」という価値観から生まれた英国アンティークは世界的にも流通され、本場イギリスでは週末になるといたるところでアンティークマーケットが開催されています。

「知識がないから・・・」「目利きではないから・・・」「英語が得意ではないから・・・」と海外のアンティークマーケット(蚤の市)で商品を購入することに不安を感じられる方も少なくありません。正直ショップとは違い、プロのディーラーもいれば趣味で出店している人など様々です。 特にこのような場所では売り手の言い値が定価になってきます。確かに知識や情報があれば多少の不安を取り除いてくれるかもしれません。ただそれらはそれほど重要ではなく、一番大切なのは物の価値ではなく自分自身がいかにその商品に魅力を感じ満足するかではないでしょうか。それぞれの歴史を重ねてきたアンティークに同じものは二つとありません。そこでしか出会えないもの、蚤の市はそんなアンティークとの出会いを楽しむところです。

アンティークの宝庫でもあるイギリスでは週末になると いたるところで様々なマーケットが開かれます。その中から、店名の由来でもある「Portobello Market」、「Car boot sale」をご紹介いたします。

Portobello Market

店名の由来でもあるPortobello Market(ポートベロー・マーケット)は映画“ノッティングヒルの恋人”の舞台にもなったノッティングヒルにあるポートベロー通りで開催されているマーケットでロンドンの中でも最も大きなマーケットで有名です。ノッティングヒルはセレブの高級住宅地として知られる地域ですが 少し奥に入ると古道具屋やカフェが立ち並ぶ庶民的な雰囲気。

この地区にはカリブ系(旧英領西インド諸島)の移住者が多く、カリビアンがアイデンティティーを誇る“世界三大カーニバル”の一つ、“Notting Hill Carnival(ノッティングヒルカーニバル)”も行われます。そのためポートベローとは、パナマのカリブ海に面した港町、Puerto Bello(プエルト・ベロ : 美しい港)がその名の由来でもあります。

現在でもビクトリア朝時代の建築物が立ち並ぶポートベロー通り、マーケットの歴史は古く 1860年後半からポートベローファームに繋がっている小道に小さい露天(ストール)が集まるようになったのが始まりとされています。通りにはアンティーク雑貨やアクセサリー、金物屋、カメラ、食器、楽器、衣類や靴といった色々な専門店が何軒も軒を連ねています。毎週土曜日は一般の人が自宅で不要になった物や、バイヤーが各地で集めた宝飾品や銀製品、時計、陶器、革製品、レース、おもちゃ、絵画、家具などの様々なアンティークストールがたくさん並び、通りはひときわ賑わいます。

ストールが開き始める早朝、各国から来たプロのディーラーとの取引で始まり、昼には地元の住民や観光客が掘り出し物を求めて集まります。アンティークの本場でもあるイギリスにはほかにも多数のマーケットがありますが、ポートベローは品揃えの豊富さから地元の人はもちろん、初心者にもお勧めです。

Car boot sale

Car boot sale(カー・ブーツ・セール)はイギリスでお天気のよい週末に、暇があったらのぞいてみたいイベント。いわゆるイギリス版のフリーマーケット(flea market)で、たいてい日曜日に開催されます。“Car boot”とは「車のトランク」の意味で、売り手が開催地まで車のトランクいっぱいに商品を積んできて、トランク横に設置したテーブルの上に商品をポンポン出すそばから売っていくことからこう呼ばれています。一般的には原っぱや駐車場などのだだっ広い屋外で催されるので、気候のいい春から夏の終わりごろにかけての季節ものの蚤の市です。一番多いのが室内装飾品を含めた家庭用品。イギリスにはインテリア・デコレーションの長い歴史と伝統があるので、室内を飾る額や飾り棚のたぐい、置物、テーブルウェア、ディナーセットやティーセット等が豊富に出てきます。

イギリスをはじめヨーロッパでは、個人が新しく家を建てることはほとんどなく、改装しながら住み替えていきます。自分の思い描いている物を求めて、時間をかけて古道具屋、アンティークマーケットやCar boot saleを巡り歩き、自分らしい住処を少しずつ形にしていくのがイギリス流なのかも知れません。

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